抄録
ラットの両側総頸動脈永久結紮モデルは,脳低灌流をきたす実験モデルであり,認識異常を伴い,アルツハイマー病のモデルともされている。このモデルに関しては,海馬や大脳皮質,白質に病理学的な変化が報告されており,また代謝異常や,視覚系の障害も知られている。行動に関しては,空間認知の異常が報告されており,海馬の障害を示唆する。しかし,これまでに扁桃体の関与は報告されていない。最近,海馬と扁桃体が相互に影響し合う密接な関連が注目されており,このモデルでも,扁桃体の障害が起きているのではないかと考えた。それで,このモデルに関する行動上の異常と扁桃体の関与を調べる目的で,水迷路,驚愕実験,プレパルス抑制の3種類の実験手法を適用した。その結果,海馬の障害を示唆する水迷路の異常と同時に,扁桃体の障害を示唆する驚愕実験の異常も見られた。結論として,本脳低灌流モデルにおいても,海馬と扁桃体が相互に影響し合っている可能性が示された。