日本うつ病リワーク協会誌
Online ISSN : 2435-1547
原著論文
ブルドン抹消検査に影響を与える要因の検討
杉村 直哉丹治 梓高橋 健武井 勇樹廣 尚典
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2020 年 1 巻 p. 8-14

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抄録

本研究ではブルドン抹消検査によって評価しうる機能について検証した.65名の大学生が研究に参加した.多重線形回帰分析の結果から,ブルドン抹消検査には,認知機能,社会適応度,気分・疲労特性,睡眠,年齢が影響していた.総所要時間の予測因子として, SMSF Ver.2の回復感(β=0.43),BACS-Jの注意と情報処理速度(β=−0.37),SASS-Jの対人関係(β=−0.30),睡眠時間(β=−0.29)が抽出された.脱漏の予測因子としてSMSF Ver.2の回復感(β=−0.59),睡眠時間(β=0.35),BACS-Jの遂行機能(β=−0.29)が抽出された.誤数の予測因子としてSMSF Ver.2の気分状態(β=−0.51),SASS-Jの対人関係(β=0.42),BACS-Jの遂行機能(β=−0.33),年齢(β=0.31),BACS-Jの運動機能(β=−0.29)が抽出された.上趨異を予測する因子にはBACS-Jの遂行機能(β=0.30)が抽出され,下趨異を予測する因子にはSASS-Jの対人関係(β=−0.43)とBACS-Jの遂行機能(β=0.28)が抽出された.趨異平均の予測因子としてBACS-Jの遂行機能(β=0.36)とSMSF Ver.2のたいくつ感(β=0.33)が抽出された.ブルドン抹消検査により業務遂行能力を評価できる可能性が示唆された.

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© 2020 一般社団法人 日本うつ病リワーク協会
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