2005 年 64 巻 1-2 号 p. 55-62
長野県産カワシンジュガイ2河川4集団の遺伝的・形態的変異性を調査した。その結果,長野県産カワシンジュガイに生殖的に隔離された2つの集団が存在することが明らかとなり,分類学的に別種として細分される可能性が強く示唆された。両者には殻の外部形態にも有意差が認められた。一方の種が比較的高い遺伝的変異性を有していたのに対し,もう片方の種では全く変異性は認められなかった。本種群の保全を図る際には,これらの事実をふまえた上でそれぞれに適切な保全施策を行う必要があろう。