抄録
近年、動物医療においてもリハビリテーションの重要性が認識され、治療行為のひとつとして注目を集めつつある。本研究では前十字靭帯断裂に馬尾症候群を併発した一事例を対象に術後リハビリテーションを行い、その有用性について検討した。術後早期からアイシングや他動的関節可動域運動(PROM運動)、マッサージ療法、温熱療法、水治療法を実施したところ、対照群と比べて膝関節の関節可動域の減少が小さく、筋肉量の減少は見られなかった。また、フォースプレートで解析した歩様回復までの期間は、対照群の3ヶ月に対し2ヶ月と短かった。これらの結果より、TPLO実施後早期からのリハビリテーションの効果は高く、術後回復の促進に有用であることが示唆された。日本の獣医療においてリハビリテーションがより広く普及し、麻痺や痛みを抱える患者動物とそのオーナーの苦しみを、少しでも減らす手助けとなることを期待する。