2020 年 94 巻 12 号 p. 571-576
1992年,著者らは加齢にともない減少するタンパク質として加齢指標タンパク質30(SMP30)を発見した.GenBankの配列相同性検索により,ラットSMP30と藍藻の細菌性グルコノラクトナーゼとの間にアミノ酸配列相同性があることに気付くまで,その生理学的役割は10年以上も解明されなかった.そして,著者らの酵素学的研究により,SMP30はL-グロノ-γ-ラクトンの加水分解を触媒することが明らかになった.また,その逆反応は,ビタミンC生合成の最後から2番目のステップである.さらに,SMP30遺伝子破壊マウスは,ビタミンC欠乏食を与えることにより壊血病を発症することがわかった.ヒトと同様に壊血病を発症するこのマウスを使用して,ビタミンCの様々な生理機能の解明を目指す研究を展開した.その結果,生体内に近い条件下において,ビタミンCはカルニチンの生合成に必須ではないことや,生体内の活性酸素種を除去するなどについて実証することができた.