2020 年 94 巻 12 号 p. 577-584
米ぬかにはトコトリエノール(T3)、フェルラ酸(FA)、γ-オリザノールなどの機能性成分が多く含まれる。不飽和ビタミンEであるT3の高い抗がん活性が注目を集めており、その効果はトコフェロールよりも強いことが知られている。がん細胞や腫瘍組織からテロメラーゼ活性が検出されることから、テロメラーゼはがん治療のターゲットとして期待されている。T3はプロテインキナーゼCの阻害を介してc-mycとテロメラーゼ触媒サブユニット(hTERT)の発現を抑制することでテロメラーゼ活性を阻害することを見出した。また、FAがT3のがん抑制効果(G1期停止を介した細胞増殖阻害とテロメラーゼ阻害)を相乗的に高めることを明らかにした。本研究により、T3によるがん抑制の新たな作用機序が解明され、T3の高い抗がん活性を裏付けた。