笑い学研究
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《論文》対決と対向の笑い
「附子」作品にみる狂言と落語の笑いについての考察
岡村 宏懇
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 32 巻 p. 3-13

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抄録
笑いの芸能として固有の性格と起源を持つ狂言と落語が、時に並演される企画が催される。催事目的は両芸能の比較鑑賞を通して、同じ笑いの芸質を持つ狂言と落語の芸の違いを味わい愉しむことである。本稿は、特に同一話材で演じられた並演企画を取り上げ、狂言と落語の「附子」作品の特色について内容面から比較検討したものである。その結果、狂言作品に奉納芸的性格を、落語作品に大衆芸的性格を見出すことができた。また、笑いについては、狂言の笑いに風刺性と和楽的性格(祝言性)を、また、落語の笑いには同じコミュニティーに生きる仲間意識を下敷きにした人情の笑い(共感の笑い)の性格を確認することができた。最後に、笑いについて考える時、誰が笑われるかを明らかにすることで誰が笑うかも明らかになるが、さらに意識されるべきは、笑う側に潜む誰を笑いたいのかという社会的無意識であることを指摘した。
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