抄録
都市内の公園などの公共用芝地に出現する草種と土壌要因との関連の基礎的知見を得ることを目的として,京都市内の公共用芝地80地点において植生調査および土壌調査をおこなった。土壌要因として,土壌水分含量,土壌硬度,土壌pH,全窒素,可給態リン酸,各種水溶性イオン(硝酸イオン,リン酸イオン,硫酸イオン,カルシウムイオン,カリウムイオンおよびナトリウムイオン)および活性アルミニウムを分析した。植生データの解析は5月に調査した13地点分(春期)および8,9月に調査した22地点分(夏期)についておこなった。春期には38草種が出現し,スズメノカタビラおよびシロツメクサの出現頻度が高かった。正準対応分析(CCA)の結果,草種の分布は土壌硬度,土壌含水率,水溶性イオン(硫酸,リン酸およびカリウム)との対応関係が強かった。夏期には52草種が出現し,アキメヒシバおよびメヒシバの出現頻度が高かった。CCAの結果,草種の分布は土壌要因との対応関係が明瞭ではなかった。除歪対応分析(DCA)の結果,芝地の衰退に複数の要因の存在が示唆された。