日本食品科学工学会誌
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技術論文
ヤーコン塊根の脱渋におけるプロアントシアニジンの減少
西野 智彦清原 大和
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 60 巻 8 号 p. 434-438

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抄録
ヤーコン塊根は高い抗酸化活性とフラクトオリゴ糖を有している機能性食材であるが,その渋みが問題となっている.本研究はEtOH蒸気に晒すことで,その渋みが除去される機構を解明するための一つの方法として実験を行った結果,以下の知見を得た.
(1) 脱渋処理前後の二次元ペーパーパークロマトグラフィーの結果とブタノール-塩酸法による分析結果から,脱渋により重合度の大きいPAが減少している可能性が示唆された.
(2) 脱渋によって減少したタンニンがタンナーゼに対する反応性を有していたことから,減少したタンニンは渋みに影響する没食子酸エステル構造を持つと考えられた.
(3) 搾汁液中の水溶性画分のPAの大部分が脱渋処理によって官能的に関与しない水に不溶な状態に変化していたことから,PAの水溶性低下が渋み除去の要因であると思われた.
(4) ADH活性は渋柿の脱渋と同様に脱渋処理中に上昇していた.
以上の結果から,EtOH脱渋法によるヤーコン塊根の脱渋は渋柿で推定されているモデルと近いものではないかと思われた.
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© 2013 日本食品科学工学会

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