1972 年 1972 巻 13 号 p. 31-36
G-315の水田における土壌混和処理の問題点を明らかにし, 合理的な処理法を確立することを目的に, いくつかの実験を実施して次のような知見を得た。
1) G-315の殺草力そのものは混和処理によって増強されることはなく, 混和深度と比例して低下する。
2) G-315の有効な混和深度は2~3cmと推察され, 少なくとも地表から数cm以下に混和されたG-315は, そのままでは殺草力を示さない。
3) G-315を乳剤として, 湛水条件下に散布してから土壌混和操作を行なうと, 混和操作の深さとは関係なく, G-315の成分の大部分は3~4cm, 特に1~2cmの層に分布する。
4) 湛水中に乳剤として散布されたG-315は, 土壌混和操作 (代かき) によって, 急速に土壌表層に沈下, 蓄積し, 水中濃度はそれにともなって著しく低下する。
5) 以上の結果から, G-315の水田における簡便な土壌混和処理法として, 次のような方法が考えられ, 現在実用化試験が進められている。
すなわち拡散性の優れたG-315の12%乳剤を湛水条件で行なわれる植代前に原液のまま散布し, 通常の植代作業によって適正な処理層が形成されるという極めて簡便な方法である。