抄録
水田雑草ミズアオイはコナギと混同される場合があるため, 幼植物の形態的特徴をコナギのそれと比較検討し, あわせて開花期, 種子生産の特性につき調べた。
1) 子葉の展開から6葉期までのミズアオイの幼植物をコナギのそれと比較した結果, 子葉先端に残る種皮は前者の方が大きいこと, および葉身の最大幅の位置が前者では基部であるのに対して後者では中央から基部1/3にかけてであることを有効な識別点として認めた。
2) 既往の研究結果を含めて, 日本産ミズアオイ科雑草4種 (ホテイアオイ, アメリカコナギ, コナギ, ミズアオイ) について4葉期頃までの検索表を作成した。
3) 寒地の水田雑草としての適応性を両種の開花期から検討した結果, ミズアオイは開花後種子の再生産に十分な期間があるが, コナギではこれが短かく, 適応性を十分に獲得していないことが示唆された。
4) ミズアオイは, 平均で個体あたり1.6本の花茎, 花茎あたり3.8個の〓果, 〓果あたり54.7粒の稔実種子をつけ, 平均的な個体あたり種子生産量は約330粒であった。ただし, 花茎あたり〓果数, 〓果あたり種子数の変動が大きかった。