抄録
近年,高忠実色再現に向けた取り組みが注目を浴びているが,こうした研究には既存の撮像装置以外の撮像装置が用いられることが多い.これは既存の撮像装置によって撮像された画像を正確なXYZ三刺激値画像に変換することが不可能であるためである.そこで本研究では,正確なXYZ三刺激値画像を取得する撮像装置について検討した.単板の受光素子を用いて同時に色情報を取得する撮像装置に適し,ルータ条件を満たす分光感度を算出した.この理論的な分光感度に対して,量子化処理によって発生する色差について分光反射率にSOCSを用いてシミュレーションし,その程度を確認した.実際に試作機を作成し,太陽光源を模した光源を照明として用いたとき,マクベス色票に対して良好なXYZ三刺激値を取得できた.