2020 年 26 巻 p. 157-166
境界層メッシュとセルタイプ(六面体セルと多面体セル)が、1:1:2の孤立した建物周辺の歩行者レベルの風環境の再現に及ぼす影響を分析するために、LESを実施した。境界層メッシュを適用することで、平坦な地面に近いメッシュの非直交性と歪度を低減することができ、流れ場の数値精度が向上することが明らかになった。一方で、建物の鋭い角の周りの局所領域では、境界層メッシュを適用した場合、メッシュの非直交性と歪度をうまく制御することが困難であることも明らかになった。結果として、建物周辺のせん断層などの敏感な領域においては、境界層メッシュを適用しても改善が見られなかった。セルタイプの影響について、六面体セルを用いた場合は、一般的に多面体を用いた場合よりもわずかに優れた精度を示している。しかし、多面体の場合のセル数は、六面体の場合のセル数よりも2倍以上少なく、これは、多面体メッシュの方が計算リソースにとってはるかに経済的であることを示している。