抄録
大気、海面水温の温暖化を考慮した2019年台風19号の擬似温暖化実験を行い、地球温暖化が台風の発達、減衰に与える影響について検討した。2019年台風19号は、比較的低緯度から減衰が始まった台風であるが、将来気候下においては高緯度まで勢力を維持し、最盛期からの減衰が小さい状態で上陸した。その結果、上陸時の台風強度が顕著に増大し、将来気候下の上陸時における最大風速は現在気候下の値の1.23倍になった。これは、地球温暖化により高緯度においても海面水温が高い状態になり、海面から台風へのエネルギー供給が活発な状態が維持されたこと、下層の水蒸気混合比の増加により大気が不安定化したことが主な要因であると考えられる。