抄録
大衆消費社会および都市における匿名性の原理は, 高度経済成長時代の後遺症であり, これらが都市廃棄物問題発生の根本原因であるとみることができる。
本稿では, 廃棄物問題を打開すべき資源リサイクルを, 現行の社会制度内での技術施策だけによるのではなく, 財の生産から廃棄にいたるあらゆる局面を社会の表に析出させる方法をとるべきことを強調し, これを「顔のみえる社会」と形容した。
具体的には, 製造物責任法をはじあ商品を扱うあらゆる法体系への廃棄物問題の組み込み, 経済計画・地域計画で外部的に取扱われてきた廃棄物問題を現行システムに内部化させる計画, 排出後の後端処理の高度化よりも前端処理における後端技術の技術論的重要性, 顔のみかたとしての地球的な産品流通における意味連関情報システムの編成, などについて論じた。