2024 年 25 巻 p. 6-21
本論では、人新世における地下資源やエネルギーについての関心の高まりが、科学的な知識や技術と国家権力および資本主義経済が結びついた大地の資源化を創発するダイナミクスを描写する。そうした動きが諸アクターの過去や未来の生き方に対する省察を生み出しながら、地質に関する新たな知を生み出す可能性を考察する。そのために近年のサハラ以南アフリカで注目されている再生可能エネルギーの源である風力・太陽光・地熱といった「生命なきもの」の資源化をめぐる動きに焦点をあてる。そうすることで、現代のサハラ以南アフリカにおける資本主義的実践に関わる諸アクターの絡まり合いを明らかにする。
そのためにグローバルサウスのエネルギー開発に関わる〈とるにたらない〉ような諸存在による活動が予想外の絡まり合いを構築するダイナミクスを捉える。具体的にはサハラ以南アフリカ諸国の中で再生可能エネルギー開発に注力しているケニア共和国の乾燥地域におけるランドスケープ創発のダイナミクスに注目する。そして大地溝帯に建設されたアフリカ最大級の地熱発電所周辺の牧畜社会(マサイ)を対象に、地熱発電所の建設とマネジメントをめぐる国際社会・国家・自治体の政策、企業・アカデミア・NGO/NPO等の活動、地域住民の暮らし、生物・地学的環境やインフラ等の動きの結びつきの諸相を明らかにする。