女性学
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特集 2022年大会シンポジウム 巻頭言 ジェンダー化された表象とフェミニズム
古久保 さくら荒木 菜穂
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2023 年 30 巻 p. 6-12

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抄録

 「ジェンダー化された表象とフェミニズム」とは、女性学では長らく議論の続いてきたテーマである。しかし、性差別に声を上げてきた歴史へのリスペクトを持ち現代に継承する一方、表象を楽しむ自由も、という各論併記で終わらせてはいけない。我々はこのテーマとどう向き合っていけばよいのか。

 吉良報告では、美術史における表象への解釈にみられる性差別やジェンダーによる非対称性への批判の歴史、それらにたいする美術界の反応にもジェンダー的な問題がみられることについて、多様な事例ともに紹介された。前之園報告では、性差別の文脈で批判されやすい二次元美少女キャラという表象について、ジェンダーや差別のしくみを知りつつ、楽しむための考え方の道筋や方法論の提案があった。田中報告では、現在のメディア状況や性的表象をめぐり対立が起こる背景、性差別表現がさまざまな新たなネットメディアに無批判に継承されたり、女性向け性メディアにも性差別的な内容が散見されたりする複雑な状況において、差別や暴力の批判の戦略をどのように練り直したらいいのかという重い問題提起がなされた。質疑等も通じ、性差別を批判しつつ、楽しむためのルールを伴う制度やリテラシーなどの必要性、その際、対話や、さまざまな意見が交わされる機会が重要であることが総括的に確認される場となった。

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