2011 年 42 巻 p. 75-82
X線の全反射現象について,教科書としてよく使われている早稲田嘉夫,松原英一郎著「X線構造解析,原子の配列を決める」(1998)の誤りを指摘し,ファインマン流のわかり易い説明を行った.X線の全反射現象は,X線のブラッグ回折と同じ原理で生じるもので,すべての可能な光路について位相も含めてその寄与を足し合わせることによって得られる.X線の反射率曲線と動力学的回折理論との相似性に関する高橋・中谷の理論についても簡単に触れた.X線全反射現象を応用したX線光学素子としてのエゴロフのX線導波路についても関連技術とあわせて説明した.