リーゼガングバンドなど,ゲル中での周期的な沈殿帯形成は自己集合現象のひとつである.蛍光X線分析やXANESなどのX線分光分析法は,この現象の分析にほとんど用いられてこなかったが,2011年以降,状況は変わった.本稿では,リーゼガングバンドの特徴や離散的な沈殿形成の理論,ゲル中でのパターン形成に影響する要因をまとめた後,X線分光分析法を応用する上での注意点や関連技術を用いた先行研究に言及する.そして,プルシアンブルー類似体の概略を説明した後,この物質が水ガラス中で形成する沈殿帯へのX線分光分析による研究を概観する.