薬局薬学
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Print ISSN : 1884-3077
症例・事例報告
薬局薬剤師による腎機能評価からの処方提案の実態─処方変更率と医療費削減効果を含めて─
川原 弘明山田 晶久立松 宏太
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2019 年 11 巻 1 号 p. 99-104

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抄録

要旨:薬剤の過剰投与を防ぐため,腎機能を評価することは薬剤師の重要な役割である.そこで,愛知県東三河地区の3 薬局にて,腎機能に関して処方提案を行っていた16症例について報告する.これら症例の腎機能評価方法は,血液検査値を患者に確認しCCrを計算したものが14 例,検査値が確認できなかったが薬歴や患者の状態等から腎機能低下の可能性を疑った症例が2 例であった.処方提案により,13 例(81.3%)が処方変更となっており,さらに10 例(76.9%)は処方提案内容と処方変更内容が一致していた.また処方変更に伴って多くの症例において薬剤費が減少し,1 例あたりの年間薬剤費は平均で57,000 円超の減少となることが試算された.薬局薬剤師による腎機能評価および処方提案は,医師の処方変更に影響を与え,より適正かつ安全な薬物療法へ貢献でき,医療費削減にも寄与できることが示された.

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© 2019 一般社団法人 日本薬局学会
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