要旨:皮膚疾患に多用されるステロイド外用剤は,著しい治療効果をもたらす重要な成分である.外用剤の混合による配合変化に関する情報は必須であるが,十分な検討は行われていない.本研究では,実臨床でもステロイド外用剤と混合されることのあるザーネ® 軟膏との配合変化について検討した.油脂性基剤であるステロイド軟膏はザーネ® 軟膏と混合すると高温になるほど基剤が不安定になり,ステロイドの種類によっては含量が著しく低下した.ザーネ® 軟膏とo/w 型ステロイドクリームの混合では基剤は安定していた.ステロイド含量は高温条件下で低下したが,ステロイド軟膏との配合変化より緩やかであった.そのためザーネ® 軟膏との混合はステロイドクリームのほうが好ましいと考えられる.しかし,ステロイドの種類や製品によっては配合変化する組み合わせがあるため,患者の症状や薬剤の保存状態,コンプライアンスに合わせた薬剤選択が重要である.