2019 年 11 巻 1 号 p. 75-84
要旨:患者が錠剤やカプセル剤をPTP 包装から取り出す行為を支援する目的で開発された取り出し補助器具(以下,補助器具)が市販されているが,これらの使用性に関する比較検討は行われていない.そのため患者背景や医薬品の特徴に合った補助器具を選択するための判断材料は不足している.本研究は,剤形に特徴のある4 種の内服薬を用い,4種の補助器具をそれぞれ用いた際のPTP 包装からの押し出すための力(押し出し力)および健常成人を対象とした補助器具の使用感を比較検討した.4 種の補助器具による押し出し力は,医薬品の形状で異なることが示された.同様に各種補助器具の使用感の評価項目も医薬品の形状で異なり,医薬品ごとに対象者が使用したいと考える補助器具は異なっていた.薬剤師は患者の手指残存機能を確認した上で服薬している医薬品のPTP 包装の形状,医薬品の形状・剤形に合った補助器具を選択することが重要であることが示された.