2019 年 11 巻 1 号 p. 26-34
要旨:安全かつ有効なセルフメディケーション推進のため,スイッチOTC 医薬品の製剤評価は不可欠である.本研究でFamotidine(FAM)のスイッチOTC 医薬品である口腔内崩壊錠ガスター10®S 錠(GS),ファモガス®OD 錠(FG),ならびに医療用医薬品ガスター®D 錠10 mg(GD)について溶出試験第1 液,第2 液,水における溶出挙動を検討したところ,GS とGD に比べ,FG からのFAM 溶出は速かった.そこで,無処置ラットおよび胃酸分泌抑制ラットに各製剤を経口投与したところ,GS とGD では血漿中濃度は類似していたのに対し,FG で血漿中濃度が若干高い傾向を示したが,薬物速度論的パラメータ(Cmax,Tmax,AUC0–5 h,t1/2)には有意差は認められなかった.この結果,製剤間の溶出挙動の差は,経口投与後の血漿中濃度推移に大きな影響を及ぼさず,GS およびFG はGDと同等な製剤であると推察された.