2019 年 11 巻 2 号 p. 119-127
要 旨:病院では薬剤部以外との連絡手段として電話を用いている.しかし,電話件数が多いため調剤が頻繁に中断され,調剤過誤にもつながる可能性が考えられた.これまで電話対応業務の効率化に関して有効性を証明した報告はなされておらず,効率化のための対策を行い有効性が証明できたので報告する.薬剤部への電話内容を調査し,医師,看護師,薬剤師に対してアンケート調査を行った.結果,薬剤部への電話件数は81 件/ 日であり,うち臨時調剤依頼が最も多いため,気送管搬送システムを利用した臨時調剤依頼方法を構築し,電話回線の適正使用を他部署に周知した.電話件数は68 件/ 日に減少し,臨時調剤依頼の電話対応時間は対策前40.6 秒/ 件(33 分/ 日)から28.6 秒/ 件(19 分/ 日)に短縮された.電話対応時間の減少のために,気送管を用いた情報伝達方法の構築と,電話回線の適正な使用が有効であることが証明でき,薬剤師が調剤に集中できることにつながり,医療安全にも貢献すると考えられた.