2021 年 13 巻 2 号 p. 154-161
2018 年 4 月から薬剤師が医師,病棟スタッフと連携し,排便コントロール不良な 65 歳以上の高齢患者の排便コントロール改善に取り組んだ.排便コントロール不良な高齢患者 13 名に対し,薬剤師と医師で作成した当院の便秘治療薬選択のためのアルゴリズムを活用したことで,週排便日数とブリストル便形状スケールの評価を基に便秘治療薬の変更時期や投与量について医師に提案できるようになった.そして,便秘治療薬としてリナクロチドまたはエロビキシバットと漢方薬を併用したことで,酸化マグネシウム製剤や刺激性下剤の投与よりも週平均排便日数とブリストル便形状スケール週中央値の両方が改善し,24 週以上の長期投与症例 11 名でも同様の結果が維持できた.薬剤師が多職種と連携し,積極的に高齢患者の排便コントロールに関与することは,適切な便秘治療薬の選択と排便コントロール改善に有用であった.