薬局薬学
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総 説
  • 吉尾 隆
    2021 年 13 巻 2 号 p. 107-114
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/22
    [早期公開] 公開日: 2021/09/13
    ジャーナル 認証あり

    精神科病床における薬剤管理指導業務,病棟薬剤業務は,精神科医療チームからも認知されている.精神科医療における薬剤師の役割として最も重要なことは,適切な精神科薬物治療への関与である.精神科医療の流れは,入院治療から外来治療を中心としたものに変化しており,退院時や外来における薬物治療の適正化も重要となってきている.現在,病院薬剤師と薬局薬剤師の連携が大変重要となっており,いわゆる薬薬連携に対する診療報酬が設定されていることから,医療保険制度により推奨されている.精神科薬物治療は難しくてよくわからないといった,苦手意識が多くの薬局薬剤師に見られる.しかし,薬物治療がどのように考えられ,処方されているのかを理解できれば,苦手意識は改善する.したがって,精神科薬物治療における薬剤師の専門性を向上させることが重要であり,精神科においても認定薬剤師制度はある.しかし,日本病院薬剤師会による精神科薬物療法認定薬剤師の取得者は現在のところ数名である.また,日本精神薬学会においても学会認定薬剤師制度を実施しているが,取得者はいまだ少ない.これらの認定制度により薬剤師の専門性と連携の強化が可能となることも期待できる.

  • 丸岡 弘治
    2021 年 13 巻 2 号 p. 115-121
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/22
    [早期公開] 公開日: 2021/09/24
    ジャーナル 認証あり

    介護老人保健施設(以下,老健)は,医療とケアを受けられるバランスの取れた形態の施設であり,外国では見られない日本が誇るシステムの高齢者施設である.老健は介護保険の様々な制限の中で医療とケアを実施しなければならないため,もともとは処方見直しを行い,薬剤適正化に取り組む傾向にある場所である.さらに,令和 3 年度の介護報酬改定により老健における薬剤適正化が促進され,老健薬剤師の介入について明記され,注目されている施設である.薬局薬剤師は,施設外部からは調剤と配薬セットの委託を受けていることが多いが,その業務だけにとどまらず,老健の特性や性質を理解しながらであれば,薬剤適正化への介入や在宅から施設を行き来する入所者の薬剤情報・処方経緯を管理する役割も十分に担うことができると考える.

  • 亀井 美和子
    2021 年 13 巻 2 号 p. 122-125
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル 認証あり

    わが国では低用量経口避妊薬が避妊法として選択される割合が低いことなど,状況に応じた適切な避妊法が選択されにくい環境がある.人口あたりの人工妊娠中絶数は近年顕著な減少はみられず,望まない妊娠・出産は社会的な問題となっている.2017 年に厚生労働省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」において,緊急避妊薬の OTC 化について議論がなされたが,性教育の浸透等,課題があることを理由として見送られた.そうした中,「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が改訂され,緊急避妊薬の調剤に関する記載が追記された.この指針において緊急避妊薬を調剤する薬剤師には研修を受けることが求められており,2021 年 7 月末時点で約 9 千名が研修を修了し,厚生労働省が氏名等を公表している.オンライン診療は緊急避妊薬へのアクセスを改善する有効な手段と考えられるが,それを機能させるためには薬局で調剤できるかどうかが鍵となる.現在,コロナ禍における時限的・特例的措置(いわゆる 0410 対応)として,緊急避妊薬の調剤が行われている可能性もあるが,薬剤師が避妊や緊急避妊薬の知識を持ち,薬剤の特性を踏まえ,患者に適切な対応をすることが求められる.

原 著
  • 角 明香里, 柴田 賢三, 亀井 浩行, 室谷 健太, 坂巻 弘之, 半谷 眞七子
    2021 年 13 巻 2 号 p. 126-137
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/22
    [早期公開] 公開日: 2021/05/24
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,在宅医療での薬剤師業務を評価する在宅薬学管理評価基準票(以下,評価票)を開発し,在宅業務と薬剤師負担度の関連を検証した.評価票は,①薬局内業務(5),②訪問業務(3),③多職種間業務(4),④患者状況(25)の 37 項目で構成された.愛知県内の A 薬局の在宅患者 224 名を対象に,薬剤服用歴管理記録から本評価票への記入を実施した.薬局内業務では,「処方薬数」「特定保健医療材料」「調剤時間」「医療用麻薬」「無菌調剤」において薬剤師負担度と関連が認められた.訪問業務では,「深夜・休日の対応」「実働時間」,多職種間業務では,「退院前カンファレンス」「他職種からの問合せ」「報告書の送付」が薬剤師の負担を増加させた.患者状況では,身体状況を評価する「介護度」や「認知機能」は薬剤師負担度の増加因子としては認められず,「悪性腫瘍」「栄養状態」を反映する項目が薬剤師負担度に起因していた.

ノート
  • 鈴木 伸悟, 藤田 勝久, 神田 卓哉, 勝俣 水稀, 廣澤 伊織, 渡部 一宏
    2021 年 13 巻 2 号 p. 138-147
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/22
    [早期公開] 公開日: 2021/06/14
    ジャーナル 認証あり

    近年, サプリメントはドラッグストアや通信販売等で広く販売されているが, 医薬品との相互作用に注意が必要である. そこで, 保険薬局に来局した希望者に『ナチュラルメディシン・データベース』 (以下, NMDB) を用いて医薬品とサプリメントの相互作用に関する相談や情報提供を行い, 相談者にアンケート調査を実施した. 2020 年 5 月 15 日から 6 月 15 日の調査期間で, NMDB による相談対応を 125 人に実施し, 10 人(8%)に特に注意すべき相互作用を発見し, 適切な指導を実施した. また, アンケート調査では, 全体の 48.3%がサプリメントを服用していたことが明らかとなり, さらに, 全体の 65.3% が相互作用の有無の確認をしたいと回答した. このことより, 医薬品とサプリメントの相 互作用の確認は一定の患者ニーズがあり, NMDB 等のデータベースを利用し正確な情報提供を行うことで, 薬局の機能向上につながる可能性が示唆された.

症例・事例報告
  • 山本 卓資, 松野 純男, 笠波 嘉人, 榊原 幹夫, 岡田 啓, 川畑 篤史
    2021 年 13 巻 2 号 p. 148-153
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/22
    [早期公開] 公開日: 2021/06/14
    ジャーナル 認証あり

    在宅訪問薬剤師が心不全を合併する患者における薬剤の副作用を観察し,医師に処方提案した.2018 年 4 月,85 歳女性に対し,薬物の副作用と主訴との関連を調査し,高血圧,食欲低下,徐脈等が認められた.ジゴキシンの血中濃度が中毒域であり,収縮期血圧 160~200 mmHg,脈拍 40~50 回 / 分であるため,医師と中止検討を行った.その結果,同年 5 月には収縮期血圧 120~130 mmHg,脈拍 60~70 回 / 分と改善した.その後,同年 8 月,頻脈(脈拍 110 回 / 分)があり,ベラパミルが追加された.在宅訪問薬剤師が呼吸音の聴取,体重等の結果を処方医師に情報提供した.その結果,ベラパミルを頓用に変更,ロキソプロフェンナトリウムも中止となった.薬剤による副作用の可能性の判断を行うのは,医療専門職以外の介護者には困難である.そのため,在宅訪問薬剤師による介入,医師への情報提供は重要である.

  • 鶴居 勝也, 波多 晶子, 荒木 遼太, 小川 紗知, 讓原 千広, 中澤 美樹子, 橋爪 和恵, 窪田 真弓, 野手 雅幸
    2021 年 13 巻 2 号 p. 154-161
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/22
    [早期公開] 公開日: 2021/06/24
    ジャーナル 認証あり

    2018 年 4 月から薬剤師が医師,病棟スタッフと連携し,排便コントロール不良な 65 歳以上の高齢患者の排便コントロール改善に取り組んだ.排便コントロール不良な高齢患者 13 名に対し,薬剤師と医師で作成した当院の便秘治療薬選択のためのアルゴリズムを活用したことで,週排便日数とブリストル便形状スケールの評価を基に便秘治療薬の変更時期や投与量について医師に提案できるようになった.そして,便秘治療薬としてリナクロチドまたはエロビキシバットと漢方薬を併用したことで,酸化マグネシウム製剤や刺激性下剤の投与よりも週平均排便日数とブリストル便形状スケール週中央値の両方が改善し,24 週以上の長期投与症例 11 名でも同様の結果が維持できた.薬剤師が多職種と連携し,積極的に高齢患者の排便コントロールに関与することは,適切な便秘治療薬の選択と排便コントロール改善に有用であった.

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