2024 年 8 巻 s2 号 p. s134-s137
アナログフィルムで記録された動的映像(以下、映像)は時に内容の冗長性から、資料化がメディア単位にとどまり内容まで踏み込むことが難しい。そこで物理的にフィルムに残された映像の最小単位:ショットを部分映像へのアクセス経路として確保し、複数のショットを意味的単位:シーンとして措定することで、冗長な記録映像を資料化する試み(ショット単位分析、仮称)を行ってきた。シーンを措定する過程では、映像が写真など他種資料を引き寄せ、分析・検証する他分野研究者の間での闊達な議論を促される。また最近になって、この分析が参加した研究者自身の研究に還元されていく小さな例も見られるようになってきた。本発表は映像資料化の方法論を簡単に説明した上で、シーン措定の途上での資料と研究者との間に起きた事例をいくつか紹介し、アーカイブ構築過程(アーカイヴィング)そのものの意義について考える。