2022 年 14 巻 2 号 p. 127-136
本研究では,在宅医療における薬剤師のストレスの現状を明らかにするため,愛知県内の在宅医療受け入れ薬局633軒にストレス調査票を郵送した.257名の有効回答を,43の質問項目および先行研究の因子分析により抽出された7因子それぞれについて平均値,標準偏差を算出した.その結果,在宅医療における薬剤師は,患者との信頼関係構築や,患者からの暴言を含めた言動,職場環境,仕事量等の業務にストレスを感じていた.属性ごとの比較では,女性,薬剤師歴が短い若年層,患者と関わる機会の多い常勤薬剤師が,よりストレスを感じている結果となった.終末期ケアにおいては,「患者の死」がストレッサーとなっており,終末期患者との接触経験のない薬剤師は,よりストレスを感じていることが明らかとなった.在宅医療や終末期に関する知識を得るための研修体制や職場環境の整備等を考慮することで,在宅医療における薬剤師のストレス軽減につながる可能性が示唆された.