YAKUGAKU ZASSHI
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エビスグサの毛状根培養とAnthraquinone類の生産
浅水 哲地秋山 和幸安田 一郎
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1988 年 108 巻 12 号 p. 1215-1218

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抄録

Agrobacterlum rhizogenesは毛状根病を起こす原因菌で, 広い範囲の双子薬植物に感染する. A. tumefaciens (クラウンコールを誘導する菌) のTiと同じようにRiフラスミドの一部 (deoxyribonucleic acid, T-DNA) を植物デフムへ挿人して, 安定した遺広子表現型をつくる. RiフラスミドのT-DNA上の遺伝子は, 形質転換細胞で生産される内生ホルモンのバランスを制御し, その結果非常に急速に成長する器官系がつくられる. この器官を毛状根と呼び, これの二次代謝産物の生産性が検討され, 特に薬用植物に関しては有用物質生産の系として近年注且を集めている. エビスグサCassia obtusifoliaの毛状根の二次代謝産物についてはすでに高らにより, アントラキノン類の存在が報告されている. また, 著者らにより主成分とするアントラキフン類, chrysophanol (1). 8-O-methylchrysophanol (2), emodin (3) 及びphyscion (4) の含量は発芽期の幼根部ものとよく一致することが明らかにさねている (Fig. 1). 二次代謝活性については, Solanaceae植物の毛状根によるトロパンアルカロイド生合成 (Atropa belladanna, Scopolia faponica, Hyoscyamus muficus 等) に関する報告が多い. この中で毛状根中のアルカロでド生産は, 通常の培養細胞と違い, 毛状根の成長と平行して起こるといわれている. そこで今回, 著者らばエビスグサ毛状根の成長に伴うアントラキノン類の生産の変化等に着目して研究を行つた. また, その際高速液体クロマトグラフィ-(HPLC) によるアントラキノン類の定量法も検討したので併せて報告する.

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