ひとつの語が複数の意味を持つ場合,それは多義語と呼ばれる。多義語の個々の意味(語義)は互いに関連を持つものだが,従来それらは辞書などで調べて別々に覚えるか,あるいは全く個人の直観に委ねて,推測-関連づけ-理解という過程を経て,付随的に修得されることが多かった。認知言語学では,カテゴリーや語,構文の持つさまざまな意味は,それぞれが自然な形で動機づけられたものとして,互いに関連したネットワークを形成するという立場を採る。本稿ではこういった観点から,beyondという前置詞の持つ複数の語義をネットワークにすることを試みた。そして大学生を対象にその前置詞がどのように理解,運用されているかを調査したうえで,ネットワークの持つ教育的可能性について考察する。