抄録
近年の脊椎カリエスのDoctor's delayの原因と傾向を調査するために,平成17年以降の4年間に当科で脊椎カリエスの治療を行った17例を検討した.Doctor's delay 群は7例あり,すべて結核の既往がなかった.また,他の疾患の診断のもと治療が行われていたものが多く,診断名は,骨粗鬆性圧迫骨折が4例,腰部脊柱管狭窄症が1例,腫瘍が1例,精巣上体炎が1例あった.これらの診断ですでに手術されていたものが5例あり,術前診断は圧迫骨折が4例,腰部脊柱管狭窄症が1例であった.Doctor's delay例では骨粗鬆性圧迫骨折の診断で手術が施行された症例が多かったが,術前の画像所見は典型的な骨粗鬆性圧迫骨折ではなかった.近年,圧迫骨折に対する手術が積極的に施行されるようになってきたが,術前に脊椎カリエスを鑑別することの重要性を再認識すべきである.