日本養豚学会誌
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原著
北海道産未利用原料を用いて設計された肥育期飼料給与が肥育豚の発育,産肉および脂肪組織の脂肪酸組成に及ぼす影響
山田 未知池原 麻友美岡田 裕輝後藤 穂高武田 陽介森好 政晴菅野 美樹夫尾崎 邦嗣山田 幸二筒井 静子中辻 浩喜
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2017 年 54 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

北海道産未利用原料を用いた肥育期飼料給与が肥育豚の発育,産肉および脂肪組織の脂肪酸組成に及ぼす影響について,市販飼料給与区(対照区)と未利用原料を用いた試験飼料給与区(試験区)の2区を設定して検討した。試験飼料は乾物中粗タンパク質含量が市販飼料のそれと同量となるように,北海道産の規格外ジャガイモ(ジャガイモ)30.0%,廃棄された豆腐(豆腐)16.0%,アスパラガスの切り下(アスパラ)10.0%,商品とならない小麦粉(小麦粉)43.5%に市販のビタミン·ミネラル製剤0.5%を加えて配合した。なお,ジャガイモ,豆腐およびアスパラについては−30℃で凍結保存していたものを解凍·脱水処理後に60℃の送風乾燥機で乾燥し,風乾物として試験飼料の原料とした。給与試験には体重約76kgの三元交雑去勢豚(WLD)を用いた。その結果,発育成績および枝肉成績ともに両区間に有意な差は見られなかった。腎臓周囲脂肪および胸最長筋内脂質の脂肪酸組成は,C18:1の割合が対照区に比べ試験区で有意に低い値を示した(P<0.05)。また,C18:2とC18:3の割合が対照区に比べ試験区で有意に高い値を示した(P<0.01)。さらに,n-6/n-3比は対照区に比べ試験区で有意に低い値を(P<0.01),脂肪の硬軟を示すC18:2/C18:0比は対照区に比べ試験区で有意に高い値を示した(P<0.01)。一方,背脂肪および胸最長筋と頸棘筋間脂肪の融点は対照区に比べ試験区で有意に低い値を示した(P<0.01)。以上の結果から,養豚用飼料原料として活用されていないジャガイモ,小麦粉,豆腐およびアスパラを原料とした飼料を給与した豚は,市販飼料を給与した豚に比べ,脂肪中の多価不飽和脂肪酸が多くなることから,その融点は低くなり,若干脂肪は軟らかくなるものの,n-3系多価不飽和脂肪酸であるC18:3が増加し,その発育および産肉性も市販飼料給与豚と同等であることが確認できた。

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