日本養豚研究会誌
Online ISSN : 2186-2567
Print ISSN : 0388-8460
ISSN-L : 0388-8460
豚肉の肉質に関する研究
II 理化学的特性による選択の基準について
矢野 幸男高坂 和久新村 裕
著者情報
ジャーナル フリー

1976 年 13 巻 2 号 p. 99-102

詳細
抄録

一般的に良質と目される豚枝肉の肉質は, 色値, 保水性, 結着性およびテクスチャーを示す諸性質において, どの様な値を示すかを知る目的で, 第6回全日本肉豚共進会において上位に擬賞された肉豚の枝肉のロースを入手して調べた。
その結果, これらの豚の肉は一般市場において得られる豚肉に比べ, 色が濃く, 明るく, 保水性, 結着性が高く, ことに加熱遠心法による保水性や結着性の測定において認められる分離液量は一般に流通する豚肉のほぼ半分であることが判った。
テクスチャーについては, 共進会において上位に入賞したもののほうが, 硬さ, ガム性, 咀しやく性において高い値を示すものを含んでおり, どちらかと言えば, 通常の豚肉よりかたく, しまりのあるものが良いと考えられていることを示唆するような結果が得られた。
色値, 保水性, 結着性については品種間の違いが, 一般の枝肉と共進会において得られた枝肉ではほぼ同じ傾向を示したが, 凝集性を除く, 他のテクスチャーを示す諸測定値では必ずしも一致しなかった。したがってこのテクスチャーを示す諸数値についての品種間の比較については, なお検討を要するように思われた。

著者関連情報
© 日本養豚学会
前の記事 次の記事
feedback
Top