日本養豚研究会誌
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豚のふん尿処理に関する研究
I. 豚のふん尿量と豚舎内におけるふん尿分離
瑞穂 当美斉津 康民山田 豊
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1984 年 21 巻 3 号 p. 142-149

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抄録

豚のふん尿処理を考える場合に, その前提となるふん量ならびに尿量を調査し, また, 豚舎内でふんを予乾することの可能性について実験した。得られた結果は次のようである。
1) 養豚経営において処理の対象となるふんの量 (なま重量) は, 肥育豚の場合, 不断給飼条件では採食量にほぼ等しく, 通常の制限給飼条件では給飼量の約70%に相当する。
2) 尿の量は本質的には体重に比例するが, ばらつきが大きく, 夏季は飲水量が多くなるため, 冬季の倍量に達する状況も見られる。現実問題として, 処理すべき尿量には若干のこぼれ水も加わるので, 不断給水条件での肥育豚の平均的数値としては, 少なくとも1頭1日3~5lの尿汚水量を見積る必要があろう。
3) 肥育豚の排ふん回数は1日3~7回で, 時刻的には給飼時刻と関連があるように観察された。排尿回数は2~18回が数えられ, 時刻的なピークはないが, 昼間と夜間とでくらべれば, 排ふんと同様に昼間の方がはるかに多い。
4) 豚舎内でふんと尿とをより完全に分離することが出来ないかどうか, スノコ下の床面の傾斜角度について検討したが, 尿の吸着はいずれにしても避けられず, 結果的に無効と判断された。
5) 送風することによって, スノコ下の堆積ふんを予乾できないかどうか試みたが, 尿を吸着する方が圧倒的に優勢であり, 送風の効果は認められなかった。
6) 上記実験結果から考えると, ふんをなるべく低水分で取出すには, 尿との接触機会を少なくする意味で頻繁に除ふんするのが実際的であると考えられる。その場合, 豚の排ふん行動の習性から考えると, そのピーク時にあたる給飼時刻のあと, 除ふんするという手順が適当と思われる。

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