1985 年 22 巻 2 号 p. 82-87
本報においては, 7世代にわたる岩手県での集団での選抜結果について報告する。
繁殖集団の大きさは世代平均で雄が11.9頭, 雌が49.6頭で, 試験期間中の平均近交, 血縁係数の上昇は6.3%と18.5%と推定された。選抜指数値の標準選抜差は, 世代あたり雄で1.13, 雌で0.49であった。
累積選抜差に対する選抜反応から求めた指数値の実現遺伝率は雄で0.41±0.14, 雌で0.30±0.11と理論上の期待値0.30と良く一致していた。
選抜指数式を構成する4形質の相関選抜反応量の世代あたりの実現値は, 1日平均増体重が3.8g, 背脂肪の厚さが-0.042cm, ロース断面積が0.48cm2, ハムの割合が-0.079%であった。背脂肪の厚さとロース断面積においては期待値以上の改良がなされたが, 1日平均増体重では下まわり, ハムの割合では負の方向に推移した。このような食い違いの生じた原因について, 指数値作製に用いた特性値と選抜集団から得られた特性値を比較して検討を加えた。