以上により, 本調査結果を要約すると次のとおりである。
1 外部症状からARの内部変状を的確に推定することは困難であるが, 顔面変形, 鼻梁彎曲のものは内部変状が重症であり, 眼下汚染は殆んどの陽性豚に認められた。
2 鼻梁の彎曲は, 萎縮の著しい左右いずれかの方向に彎曲するが, 左右の比率は約1:2の割内で右方彎曲が多いことが認められた。
3 本調査においては, 母豚症状の有無に関係なく子豚に症状が認められたことは, 相互に接触できるような飼養条件下では容易に発生するものと推察された。
4 AR症状を呈したものの肥育成績は, 20~90kg, に達する所要日数で, 重症のもは軽症のものに比べ約10日以上多くを要した。
1日平均増体量についても, 症状の重いものほど少なく, (一) のものに比べ約20%前後の発育障害が認められた。
飼料要求率も重症のものほど多く要する傾向が認められた。