日本養豚学会誌
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穀物および大豆粕の粒度または煮熟処理が人工消化率および豚の消化率に及ぼす影響
古谷 修梶 雄次
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1987 年 24 巻 2 号 p. 87-93

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抄録

穀物および大豆粕の粒度ならびに穀物の煮熟処理が栄養素の消化率に及ぼす影響について, 豚小腸液を用いる人工消化試験および豚による消化試験で検討した。トウモロコシ, 玄米, 大麦, 小麦および市販フレーク状大豆粕は篩を付けずに, また, 裸麦は3mm目篩の付いた粉砕機で粉砕したものを粗粒とし, それらをさらに1mmの篩で粉砕したものを微粒とした。マイロは1mm目篩付きで粉砕したもののみを微粒として供試した。また, 粗粒穀物および微粒マイロを, ビーカーで10分間煮熟し, これらを煮熟試料として実験に供試した。試験の結果はつぎの通りである。1) 穀物の微粉砕および煮熟処理によって, 乾物および粗蛋白質 (CP) の人工消化率は明らかに高まった (P<0.05)。この改善の程度は玄米でもっとも著しく, 小麦や大麦では比較的小さかった。これは, 玄米が小麦や大麦に比べて硬質なため, 消化酵素が内部に浸透しにくいことによると考えられた。2) 豚による玄米微粒のエネルギーおよびCPの消化率は, 粗粒に比較して, それぞれ5および10%高かった (P<0.05)。3) 豚の小腸末端および全消化管でのエネルギーおよびCPの消化率には, 大豆粕の粒度によって有意差は認められなかったが, 人工消化試験による乾物, CPおよび非蛋白窒素の消化率 (遊離率) はフレーク状大豆粕 (未粉砕) の場合が, 粗粒および微粒大豆粕よりも明らかに低かった (P<0.05)。

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