授乳母豚に ProstaglandinF2α, PMSGおよびHCGを投与し, 経時的に異なる種雄豚の精液を注入し, 受胎・分娩が可能か否かを試験した。ホルモン投与後の授乳母豚の発情徴候は, 外陰部の発赤腫脹は明瞭であったが, 粘液の漏出および背圧反応はあまり明瞭に発現しなかった。
人工授精はHCG投与18~24時間後に行なうのが最も効率的であり, 受胎率58.3%で授乳中に受胎・妊娠させることができた。
これにより生産子豚数の増加は認められたが, 生時体重は軽かった。また授乳中に受胎・妊娠しても哺乳子豚の発育には何ら影響はなかった。
さらに本方法による授乳母豚の反復供用も可能であることから, 受胎率の向上および処置開始時期の短縮により, 一層利用価値の高い技術となろう。