日本養豚学会誌
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制限および不断給餌下での豚の産肉能力の評価
鈴木 啓一氏家 哲浅野 安夫
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1987 年 24 巻 3 号 p. 178-184

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抄録
制限と不断の給餌方法により, 育成豚の発育, 産肉形質およびハロセン感受性等の形質間の相関が異なるかどうかを明らかにするため, 両給餌下で飼育された豚のこれらの形質間の表型相関を比較検討した。また, 遺伝と給餌条件との間に交互作用が存在するかどうか検討した。宮城県におけるランドレース種豚系統造成基礎世代と第1世代の種雄豚計11頭に, 2~6頭の雌豚を交配して得られた計47頭の雌豚から生まれた雄子豚を各腹から不断給餌区と制限給餌区に1頭ずつ振り分け計94頭供試した。
給餌法と種雄豚を要因とした分散分析の結果, 1平均増体量, 飼料摂取量, 飼料要求率などの発育形質は不断区で優れたが, 背脂肪の厚さとロース断面積は両区で差が認められなかった。また, いずれの形質についても交互作用は認められなかった。各形質間の表型相関の比較から, 1日平均増体量と飼料摂取量および飼料要求率との間の相関は不断区 (r=-0.426, -0.452) より制限区 (r=-0.754, -0.883)が, 逆に1日平均飼料摂取量との間の相関は制限区 (r=-0.504) より不断区 (r=0.751) がそれぞれ有意に高かった。また1日平均増体量と背脂肪厚との間の相関係数は, 有意な差ではなかったが制限区で負 (r=-0.149), 不断区で正 (r=0.097) の値が得られた。第1世代では, 不断区でハロセン陽性豚は陰性豚と比較し飼料の摂取量が少なく飼料要求率も優れていたが, 制限区ではこのような関係は認められず飼料の給与方法によりハロセン感受性遺伝子のこれらの形質への効果が異なることが示唆された。しかし, 第2世代では両給餌区でいずれの形質についてもハロセン陽性豚と陰性豚間に差は認められなかった。
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