日本養豚学会誌
Online ISSN : 1881-655X
Print ISSN : 0913-882X
ISSN-L : 0913-882X
イノブタの肉質に関する研究
4. 性別および筋肉部位による脂質並びに脂肪酸組成の差異
山野 裕松岡 昭善古川 徳高橋 強山中 良忠
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 27 巻 3 号 p. 159-166

詳細
抄録

バークシャー種雌とイノシン雄を交配して生産されたイノブタの去勢雄および雌各3頭を90kgまで肥育し, それらの胸最長筋, 大腿二頭筋および半膜様筋を用いて, 性別および筋肉部位による脂質組成並びに全脂質, 中性脂質, リン脂質およびフォスファチジルエタノールアミン, フォスファチジルコリン区分の脂肪酸組成の差異を明らかにする目的で実験を行い, 次の結果を得た。
1)去勢雄の脂質組成は雌に比較してトリアシルグリセロールおよび中性脂質が多く, 筋肉間では大腿二頭筋にリン脂質が多く含まれる傾向を示した。
2)全脂質および中性脂質の脂肪酸組成は性間で顕著な差が認められなかったが, 筋肉間では胸最長筋の飽和脂肪酸総量が最も高かった。
3)リン脂質およびフォスファチジルコリンの脂肪酸組成については性間および筋肉間には顕著な差が認められなかった。
4)フォスファチジルエタノールアミンの脂肪酸組成は性間に顕著な差がなく, 筋肉部位による差異も比較的小さかった。
以上の結果から, 生体重90kgのイノブタの脂肪酸組成は筋肉間の差に比較して性間の差は小さいものと思われた。

著者関連情報
© 日本養豚学会
前の記事 次の記事
feedback
Top