日本養豚学会誌
Online ISSN : 1881-655X
Print ISSN : 0913-882X
ISSN-L : 0913-882X
豚の閉鎖群育種において相対希望改良量に産子数を含めた場合の期待改良量
佐藤 正寛古川 力石井 和雄
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 36 巻 1 号 p. 13-17

詳細
抄録

相対希望改良量を達成するための家系情報に基づく選抜指数によって, アニマルモデルによる制限付きBLUP法を用いた選抜による育種価の期待改良量E (Δg) を試算した。改良目標形質は, 1日平均増体重 (DG), 背脂肪厚 (BF) および産子数 (LS) とした。家系の情報は, 選抜候補を第0代とし, 4代祖までの選抜候補の直系およびそれらの全きょうだいと半きょうだいの表型価および血縁関係を用いた。選抜候補世代はLSの表型価を持たないものとした。交配は雄1頭に対し雌5頭とし, 腹あたりの選抜候補豚の頭数は2~4頭とした。DG, BF, LSの遺伝率はそれぞれ0.3, 0.5, 0.1, DGとBFの遺伝および表型相関は0.2, LSとDGおよびBF間の相関は0とした。LSの相対希望改良量を小さくした場合, 制限付きBLUP法による各形質のE (Δg) は, DGおよびBFの2形質の選抜指数とLSの表型価に基づく選抜によるE (Δg) に等しくなることが期待された。また, LSの相対希望改良量を大きくした場合, 制限付きBLUP法によるLSのE (Δg) は, LSのみの BLUP 法によるそれに類似することが期待された。さらに, 改良目標に達している形質がある場合, 例えばBFの集団平均が最適値に達している場合, LSのE (Δg) はより大きくなることが期待された。

著者関連情報
© 日本養豚学会
前の記事 次の記事
feedback
Top