背景・目的:厚生労働省は1987年から、定期的に人生の最終段階における医療に関する国民の意識調査を行っている。
近年はそのあり方が医学教育に取り入れられているが、医学生の意識を調査した報告は存在しない。そこで、我々は、
人生の最終段階における医療に関する医学部新入生の意識調査を行った。
材料(機器)と方法:2018年度の帝京大学医学部医学科の新入生137人を対象に、厚生労働省のアンケート調査票の一
部を用い、無記名・自記式のアンケート調査を行った。
結果:医学部新入生は、場所の質問で、末期がんで日常生活が自立している場合、「居宅」を80.4%、「医療機関」を
14.1%が希望したが、日常生活に介助が必要になると、「居宅」が42.9%に減少し、「医療機関」が45.2%に増加した。治
療方針の質問では、末期がんでも、胃ろう、人工呼吸器の使用、心肺蘇生処置を望む者の割合が、それぞれ、19.5%、
29.7%、41.4%であった。2012年度の厚生労働省調査における国民の意識と同様の傾向を示したが、侵襲性の高い延命治
療を望む者の割合が多かった。
結論:医学部新入生は、国民と比べ、人生の最終段階における医療において、侵襲性の高い延命治療を望む割合が高
いという特徴がみられた。
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