石川県農業短期大学研究報告
Online ISSN : 2433-6491
Print ISSN : 0389-9977
17 巻
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  • 加納 恭卓
    原稿種別: 本文
    1987 年 17 巻 p. 16-20
    発行日: 1987年
    公開日: 2018/04/02
    研究報告書・技術報告書 フリー
    石川県内の夏まきニンジンで,根部の表皮組織の下層が白く帯状に光る,"ミミズバレ症"とよばれる生理障害か発生し問題となっている。ここでは,ミミズバレ症の発生とは種時期との関係について報告する。供試したニンジンの2品種,'夏まき鮮紅五寸ニンジン'も'埼玉五寸ニンジン'も8月9日には種した場合,収量は最も高く,ミミズバレ症の発生は最も少なかった。逆に,この時期よりは種時期が早くなっても晩くなっても収量は低く,ミミズバレ症の発生は高くなった。糖含量は'夏まき鮮紅五寸ニンジン'では8月9日まきで最も高くなったが,'埼玉五寸ニンジン'では8月29日まきのものを除き,いずれのは種時期のものも低かった。以上より,根部の生育に適さない条件下でミミスバレ症が発生しやすくなるものと考えられる。
  • 加納 恭卓
    原稿種別: 本文
    1987 年 17 巻 p. 21-24
    発行日: 1987年
    公開日: 2018/04/02
    研究報告書・技術報告書 フリー
    石川県では源助ダイコンの早まき栽培が行われるようになったが,根部の中央部が縦に空洞になる空洞症が多発するようになり,問題となった。本報では植物生長調節物質の1種であるオーキシンが生育ならびに空洞発生に及ぼす影響について検討した。葉重はNAA処理により小さくなった。また,NAA処理により根長はあまり影響は受けなかったが,根径が小さくなったため,根重は著しく小さくなった。空洞発生率は,NAAの100mg/1処理区で著しく小さくなった。NAA処理により源助ダイコンの空洞発生率が小さくなる理由について,NAAの直接的な影響と間接的な影響をあげて論じた。
  • 上田 哲行
    原稿種別: 本文
    1987 年 17 巻 p. 41-51
    発行日: 1987年
    公開日: 2018/04/02
    研究報告書・技術報告書 フリー
    Several population parameters affecting the operational sex ratio of the damselfly, Cercion calamorum Ris, were investigated by mark-recapture methods in Kyoto, Japan. The sex ratios on emergence were even. There was no sexual difference in the daily survival rate during the maturation period; i. e., 0.837 for males and 0.833 for females. The length of the maturation period for most individuals were 10 days (males) and 12 days (females). The daily survival rate for the matured females were slightly higher than that for the matured males (0.861 vs. 0.839). The sex ratio (♀/♂) of the total matured individuals, which was obtained by calculating the above parameters, was 0.79. The arrival rate for the mature males at the reproductive area depended on the ambient temperature and therefore usually reached up to 1.0 on hot days in the summer. The matured females arrived at the reproductive area to oviposit at intervals of two or three days, suggesting that the daily arrival rate of the matured females at the reproductive area was, on the average, 0.29. Thus the operational sex ratio on the basis of a day, assuming that the arrival rate of matured males is 1.0, is estimated as 0.22. It was very close to the observed sex ratio; i. e., 0.23 (July) and 0.18 (Aug.). The sex ratio of the damselflies at the reproductive area on a census, that is, the sex ratio at a moment, was skewed still more toward males. This may reflect the sexual difference of the mean duration of staying at the reproductive area (414 min. for males and 126 min. for females). The expected sex ratio on a census added in the above parameter was also close to the observed one in August (0.066 vs. 0.065), but not to the ones in the early season probably because of the lower arrival rate of males at the reproductive area due to low temperature.
  • 井東 廉介
    原稿種別: 本文
    1987 年 17 巻 p. 52-68
    発行日: 1987年
    公開日: 2018/04/02
    研究報告書・技術報告書 フリー
    動詞'help'に続く補文の形態は15〜16世紀に用いられたthat一節を含めれば,可能な英語の補文の全てに及ぶ。現代英語ではその上不定詞補文の形態が'to'の有無による両形態となって共存する。形態が何らかの意味価値を担っているという観点からは,後続の補文形態を誘発する意味の多様な区別を'help'そのものか内包しているのではないかと考えてみるのは自然であるか,英語史的にそれを解明していく事は至難である。本論は不定詞補文の'to'の有無について,英語史的・意味論的に再検討を試みたものである。英語史的には'help'の不定詞補文か'to'を脱落させるのは,OEDの記述に代表されるように16世紀初め頃と考えられていたようである。しかし,不定詞の形態的変遷の趨勢に逆行するような上記の観察は誤解を招く恐れがある。Jespersenその他か実例をあげて述べているように,'help'の不定詞補文の形態は一般的な変遷の経過を一応たどっており,ME期には「原形」'to'及び'for to'付きのいずれも後続されていた。そのうち'for to'は一般的傾向に従って17世紀までしか用いられなかったのに対し,他の二形態か残った背景にはいずれの形態も意味論的に有意義なものを担っていたという実際的な存在価値があったからだと考えるのか妥当であろう。尤も原形の方は一旦英国ては衰え今世紀の初めには『方言または俗語』とされたか,間もなく米語用法からの逆輸入のような形で復活し,1960年頃口語体としての市民権が定着したものである。'help'の不定詞補文は元来'help'か行為動詞か状態動詞かによって,その統語的役割が違っていた筈である。現時点で'to'の有無を直接援助・間接援動という観点から分析するのは,行為動詞としての'help'の把え方から拡大されたものと思われ,その根底には'help'か援助を受ける行為者とその行為という二重の目的語を取り得る意味を一方で内包している事を前提としている事が考えられる。この場合,知覚動詞に見られるような,英語に古くから存在した統語構造に引かれて,原形を取る事は当然の成り行きであろうし,またこの構造の意味からも,被援助者(受益者)の行為に'help'が直接かかわる事は理にかなっている。他方,状態動詞としての'help'の補文構造は比論表現の無生主語と表層上は同じであり,'help'が受益者に働きかけて,その到達点として受益者の行為を誘発するという意味か,使役動詞型の構文(原形を誘発)や'enable'型の構文('to'を誘発)に引きつけられる一面を反映していると考えるのも一理ある。更に17世紀のみに用いられたthat節補文は,「論理主語(目的格)+述語(to不定詞)」(nexus関係)に引きつがれているとする可能性も残している。このような背景の中で'help'の不定詞補文を考察すれば,原形は意味論的には直接行為に関する型,知覚動詞型及び使役動詞型に,'to'付きは'enable'型,'nexus'関係型及び副詞的機能型に還元できる。米語に於ける原形の多用について注目すべ点は,'help'が行為者主語を取る場合や道具格主語を取る場合の構文的特性の他に,'help'よりも補文の方に意味の重心か移行し,主動詞'help'が主語に対する話者の心理的態度を述べるのみの,他動詞'know'かmodal anx,'can'へと変質して行った過程に類似した特徴を現わし始めている。Quirk et alの'A Comprehensive Grammar of English Languge'には主動詞と助動詞の中間的機能を持つ動詞が段階的に例示されているが,その中にはこの'help'は含まれていない。しかし,その中に含まれる最も助動詞傾向の少ない'hope','begin'よりも,米語に於ける「'help'+原形」の多用はその助動詞化傾向を強く示していると考えられる。
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