外見上正常または呼吸器症状を有するマウスの鼻腔, 気管, 肺および脳から,
M.neuyolyticumを分離し, その毒素産生性および病原性について追究した。
M.neurolyticumは, 呼吸器病の有無にかかわらず, 両群の約半数 (44~56%) のマウスが保有しており, いずれも
M.pulmonisと混在して分離された。毒素産生性は, 株間に若干の差がみられたが, 全分離株が毒素産生株であり, 培養菌液のiv接種によって特有のrolling disease症状を現わした。24時間培養菌液のマウスに対する致死量は, iv投与法で測定した時, 最高LD
50=2
5.5/0.5mlを示した。接種経路による本菌のマウスに対する病源性は, 静脈内接種が最も強く, 次いで腹腔内, 脳内の順位であり, 皮下接種では無症状であった。また経鼻接種において,
M.neurolyticumは接種後8日目に10匹中4匹の肺から回収されたが, 以後漸次消失し, 呼吸器症状および肉眼的肺病変は認められなかった。
M.pulmonis接種群においては,
Mycoplasmaは呼吸器各部位に定着, 増殖し, 自然界にみられるものと酷似した肺病変を形成した。これらの成績から,
M.neurolyticumは, 自然感染マウスの呼吸器官よりしばしば分離さるれが, 肺炎形成との直接的関連性はないものと考えられる。
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