理学療法福岡
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最新号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 原田 伸哉, 石谷 栄一
    2024 年37 巻 p. 53-
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/01/27
    ジャーナル オープンアクセス
    広範囲腱板断裂によって偽性麻痺を呈した症例に対する棘下筋回転移行術の後療法を経験した。症例は70代前半の男性で自動挙上60°と挙上困難が主訴だった。断裂サイズは内外側径60mm、肩峰骨頭間距離(AHI)4.5mm、脂肪変性Goutallier classification : 棘上筋stage 4/棘下筋stage 4と再断裂リスクが非常に高いため後療法に難渋した。棘下筋回転移行術は棘下筋を棘下窩から完全に剥離するため癒着するまでには棘下筋の活動は期待できず、術後早期は肩甲下筋による骨頭の押し下げ機能を期待して肩甲下筋の運動を重点的に行なった。症例の術前挙上はシュラッグ挙上(上腕骨頭の上方すべり)で肩甲骨と上腕骨が一塊となる挙上パターンだった。術後も同様の挙上パターンでは、上腕骨頭による下から突き上げにより縫合腱板の再断裂を助長すると考え後療法を工夫した。上肢を「上に引き挙げる」のではなく「前に押し出す」よう意識するために肩甲骨運動から開始し、ミリタリープレスにて挙上パターンの再学習を行なった。術後6ヶ月で腱板の修復には成功したが自動挙上可動域は65°と改善せず、術後1年で135°まで改善した。再断裂リスクが高い場合は、術後経過において挙上可動域の獲得は焦らずに修復腱板の保護を最優先に考える必要がある。 シュラッグ挙上を防止するために肩甲骨運動や挙上パターンの再学習などの運動療法を漸増的に展開したことが再断裂防止かつ挙上獲得に繋がったと考えられた。棘下筋回転移行術後の運動療法は残存する肩甲下筋の収縮練習、肩甲骨外転・上方回旋による「肩甲骨を押し出す」運動、ミリタリープレスによる「上肢を押し出す」運動を学習することが有用かもしれない。
  • 永渕 俊輝, 隠塚 裕輝, 松本 隆史
    2024 年37 巻 p. 63-
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/01/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】要支援認定を受けた介護予防通所リハビリテーション(デイケア)利用者の運動機能と手段的日常生活活動能力(IADL)に影響を与える因子について検討することを目的とした。【対象】要支援認定を受けてデイケアを利用している高齢者41名を対象とした。【方法】運動機能評価(握力、5回椅子からの立ち上がりテスト(Five-Times-Sit-To-Stand Test:以下、FTSST)、通常・最大5m歩行速度、Timed Up & Go test(以下、TUG)、開眼片脚立位保持時間(One-Leg Standing:以下、OLS)、IADL(老研式活動能力指標)を測定し、老研式活動能力指標と各運動機能項目測定値との単相関、老研式活動能力指標に影響を及ぼす運動機能について、目的変数を老研式活動能力指標、説明変数をFTSST、TUG、OLSとして重回帰分析および分散分析を行い検討した。 【結果】単相関分析では、OLS(r=0.515、p<0.05)、FTSST(r=−0.511、p<0.05)、TUG(r=− 0.510、p<0.05)で相関を認め、老研式活動能力指標を目的変数とした重回帰分析では、有意な独立因子は抽出されなかった。【結論】IADL低下には下肢筋力、立位バランス能力が複合的に影響を及ぼしており、転倒リスクおよび転倒不安感の軽減に向けた運動指導と、ADL向上に焦点をあてたアプローチがデイケア利用者に関わるうえで必要となる。
  • 井手 翔太郎, 釜﨑 大志郎, 八谷 瑞紀, 久保 温子, 大川 裕行, 坂本 飛鳥, 藤原 和彦, 藤村 諭史, 田中 勝人, 溝上 泰弘 ...
    2024 年37 巻 p. 75-
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/01/27
    ジャーナル オープンアクセス
    [目的]本研究の目的は、地域在住中高年者の最大歩行速度と体幹筋量の関係性について検討することとした。[方法]本研究は横断研究である。対象は、地域で実施している体力測定会へ参加した地域在住中高年者とした。統計解析は、最大歩行速度を従属変数、体幹筋量を独立変数とした単回帰分析(Model 1)を実施した。Model 2では共変量と考えられる変数を投入し交絡を調整した。[結果]分析対象者は、地域在住中高年者72名[74±7歳(60−92歳)、女性75%]であった。共変量を投入した重回帰分析(Model 2)の結果、最大歩行速度と体幹筋量には有意な関係性があることが明らかになった(標準化偏回帰係数=0.38、p=0.019)。[結論]地域在住中高年者の最大歩行速度には、体幹筋量が関係することが明らかになった。歩行速度の維持・向上には体幹筋量へのアプローチが必要である可能性が示唆された。
  • ─多重ロジスティック回帰分析を用いた入院7日目での転帰予測─
    吉川 和也, 石丸 智之, 渡邊 雄介, 小倉 健紀, 宮田 武
    2024 年37 巻 p. 76-
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/01/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】rt-PA静注療法及び機械的血栓回収療法(以下、急性期再開通療法)を施行した急性期脳梗塞患者において、自宅退院可否の関連因子を7日目における評価から明らかにする。【方法】急性期再開通療法を施行した411名のうち、データ収集可能だった273名を対象とした。自宅退院した群を退院群、回復期病院へ転院した群を転院群とし、各調査項目においてMann-WhitneyのU検定、カイ2乗検定で2群間比較を行った。また単変量ロジスティック回帰分析にてP<0.05となった項目を独立変数、転帰先を従属変数とした多重ロジスティック回帰分析を行った。そこで抽出された因子のreceiver operatorating characteristic(以下、ROC)曲線を求め、カットオフ値を算出した。 【結果】多重ロジスティック回帰分析の結果、Functional Independence Measure Motor(以下、FIM-M)、失語症の有無が抽出された。FIM-Mのカットオフ値は65点であった。【結論】FIM-M、失語症の有無は、急性期再開通療法施行後の急性期脳梗塞患者の自宅退院可否に関連することが示唆された。
  • 琴岡 憲亮, 中村 浩一
    2024 年37 巻 p. 85-
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/01/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】本研究の目的は、要支援高齢者の3軸加速度センサーを用いた歩行パラメータと日本語版Frenchay Activities Index(以下、FAI)の関連について明らかにすることである。【対象】当院の短時間介護予防通所リハビリテーション(以下、デイケア)を利用している要支援の女性高齢者57名(平均年齢81.8±5.8歳)とした。【方法】AYUMI EYE(以下、AE)を用いて6m歩行時間、推進力、歩幅、ダイナミズム、バランス、Root Mean Square(以下、RMS)、リズム、歩行周期ばらつき、歩行速度の歩行パラメータ測定およびFAIの評価を行った。統計解析は、歩行パラメータとFAI総得点および各項目点数を初回評価時と9ヶ月後で前後比較を行い、有意差を認めた初回評価時のバランス、RMS、歩幅を独立変数とし、9ヶ月後の交通手段の利用、屋外歩行それぞれを従属変数とし、重回帰分析を行った。【結果】デイケア初回評価時に比べ9ヶ月後では、推進力、歩幅、バランス、RMS、歩行速度に有意な改善を認めた。重回帰分析の結果では、9ヶ月後の交通手段の利用に影響を与える要因として初回評価時のAEバランスが抽出された。【結論】要支援高齢者のデイケア初回評価時のAEバランスは、9ヶ月後の交通手段の利用に影響を与えることが示唆された。また、長期間のデイケア利用は歩行パラメータの改善を認め、要支援高齢者の歩行能力向上に寄与できて いたことがAEからも明らかとなった。
  • ─アンケートを用いたニーズ・アセスメント─
    伊原 直, 出口 直樹, 平川 善之, 入江 暢幸
    2024 年37 巻 p. 93-
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/01/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】我々はこれまで脳卒中者の家族を対象に、必要となる情報を提供する脳卒中教室を実践し 一定の効果を得たが、依然として家族の抱える不安は残存しておりプログラムの再検討の必要性を認めた。そこで今回、アンケート調査に基づく記述的分析にて家族の抱える不安を明確にし具体的対策を検討することを目的とした。【方法】当院回復期病棟に入院した脳卒中者の家族152名を対象に、看護ケアの仕方や退院後の生活イメージなど計17項目に関する記述式のアンケート調査を実施した。【結果】退院後のリハビリ(75%)、退院後の生活イメージ(70%)、病状の回復・予後(68%)、病気の再発(68%)、退院後の介護(68%)で不安が高い割合を示し、一方で口腔ケア(22%)、退院先(24%)、施設の種類(27%)、介護保険制度(28%)、病気の症状の理解(28%)に関する割合は低かった。【結論】本結果より、退院後の生活に関するものや、将来的な病状に対する不安が高かった。したがって、脳卒中教室のプログラムにさらに組み込み、家族の不安の介入効果について再検証していきたい。
  • ─予備研究─
    田中 拓樹, 岩﨑 留巳子
    2024 年37 巻 p. 100-
    発行日: 2024年
    公開日: 2025/01/27
    ジャーナル オープンアクセス
    【目的】回復期リハビリテーション病棟退院時の大腿骨近位部骨折術後患者の歩行能力を調査し、受傷前歩行能力を再獲得するための関連因子の調査と推定エネルギー必要量、蛋白質必要量を求めることを目的とした。【方法】回復期リハビリテーション病棟入院の70歳以上大腿骨近位部骨折術後の女性44名を対象とし、後方視的に検討した。【結果】歩行低下群33名、歩行再獲得群11名が抽出された(平均年齢87.27歳、平均BMI19.83kg/m²、入院後1週間平均のエネルギー摂取量/標準体重26.7kcal/kg/日、蛋白質摂取量/標準体重1.07±0.16g/kg/日。)多重ロジスティック回帰分析の結果、歩行再獲得に関わる因子として入院時エネルギー摂取量/標準体重(P=0.03)、入院時蛋白質摂取量/標準体重(P=0.01)が抽出された。ROC分析により、推定必要量は入院時エネルギー摂取量/標準体重27.13kcal/kg/日、入院時蛋白質摂取量/標準体重1.13g/kg/日であることが示された。 【結論】回復期リハビリテーション病棟における歩行再獲得の必要栄養量が示された。
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