人間科学
Online ISSN : 2434-4753
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臨床心理学科
研究論文
  • 山下 陽平, 窪田 由紀
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 2 巻 p. 1-9
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/27
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    本研究では,対人関係ゲーム・プログラムを小学3年生に実施し,対人関係ゲーム・プログラムの実施が引っ込み思案行動,攻撃行動の高い児童にどのような心理的意味をもたらすのかを質的検討を通して明らかにすることを目的とする。介入学級は公立小学校3年生の1学級で,その中から2名の引っ込み思案児,2名の攻撃児,2名の引っ込み思案行動及び攻撃行動を併せ持つ児童を選定した。介入学級にはX年9~10月に計6回からなる対人関係ゲーム・プログラムを実施した。結果として,対人関係ゲーム・プログラムの実施を通して,対象児の攻撃行動,引っ込み思案行動の減少が見られた。プログラムへの参加を通して,クラスメートと関わる機会が増加し,それを楽しんだからだと考えられた。しかし,攻撃行動の減少には限定的な効果しか得られなかった。加えて,本研究で作成した仮説モデルはあくまで一事例からのものであるため,今後さらなる検証が求められる。

  • 樋渡 孝徳, 窪田 由紀, 山田 幸代, 向笠 章子, 山下 陽平, 林 幹男
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 2 巻 p. 10-16
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/27
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    本調査の目的は各都道府県における学校緊急支援の実施体制と支援プログラムの実態を把握することである。各都道府県の学校臨床心理士ワーキンググループ・コーディネーターを対象に調査を行い,32都道府県臨床心理士会の37名のコーディネーターから回答を得た。結果,緊急支援実施マニュアルについて,59.4%の心理士会が持っていた。また,依頼ルートについて最も一般的なものとしてあげられていたものは,教育委員会から心理士会への依頼であり,支援体制としては外部CPの追加配置と支援チームの配備がともに最も一般的なものであった。支援プログラムについては,全体に関わる支援から個別カウンセリングまで幅広く行われていることがわかった。支援体制による支援プログラム数の違いについて,有意差はないが効果量が見られ,チーム支援の方が多くのプログラムを行っている傾向にあった。支援を十分に行うためにも教育行政と日頃から十分な連携をとっていく必要性も示唆された。

子ども教育学科
研究論文
  • 阿部 敬信, 長谷部 倫子
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 2 巻 p. 17-28
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/27
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    本研究の目的は,ろう児の第二言語としての日本語の読解力を評価する方法を開発することにある。そのために日本で暮らす外国人児童生徒のための日本語能力の評価である「外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメント;DLA」の考え方を援用し,Visual-Gestural modeの言語を用いるろう児の適性に応じた手続きをとる評価法とした。それを日本手話・日本語バイリンガル教育を実践しているろう学校小学部のろう児に対して試行することによって,第二言語としての日本語の読解力評価法の構成概念妥当性を検討した。その結果,本評価法の評価ツール〈読む〉では,あらすじ再生や「あらすじチェック」等を行うことで,その解答やテキストの日本語文の読みの実態や課題が個別に明らかにできた。また,語彙数や文型を考慮したリライトされた読み物は,ろう児が,日本語のテキストを読み味わうこと,すなわち読書を楽しむことを学ぶ上で有効であることが示唆された。

  • 上出 惠子
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 2 巻 p. 29-35
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/27
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    子ども文化の中でも,日本の子どもの歌は多種多様で,その豊かさには目を瞠るものがある。それは,かつて近代化を急ぐ日本において導入された西洋音楽と従来の日本の伝統音楽とのせめぎ合いの中で唱歌や童謡が生まれ,さらにはレコードから始まり,ラジオやテレビ,また最近ではゲーム,ネットなどの各種メディアの目覚ましい普及に伴い,子どもの歌が量産されてきたからである。このような多種多様な子どもの歌の混在は日本独自のものとも考えられるが,だからと言って野放図なままに量産と消費を繰り返すだけでことは済まないであろう。とくに保育の場にあって子どもの歌は,発達にも関わり重要である。

    本稿は,唱歌の成立に関わったとされる賛美歌に着目し,「子ども賛美歌」を視座に子どもの歌とは何か,さらには子どもたちにとって歌とは何かについて改めて問うものである。

  • 森 暢子, 門田 理世, 野口 隆子, 鈴木 正敏, 芦田 宏, 箕輪 潤子, 秋田 喜代美, 小田 豊, 無藤 隆, 上田 敏丈, 中坪 ...
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 2 巻 p. 36-45
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/27
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    4歳から小学2年生までの子どもの発達調査を全国5地域で縦断的に行い,4年間の協働性のデータが全て揃っている318人の子どもの人とかかわる力の伸びの様相の分析を行った。協働性と自己調整の観察評定値は,年齢が上がるにつれて全体平均では伸びているが,四分位数の中央値で高群・低群に二分して4年間の変容を見ると,協働性も自己調整も16種類に分散され,一人一人異なる様相を見せながら育っていっていることが明らかとなった。社会情動的スキルは一定の発達曲線をたどっていかないこと,一人一人に応じた質の高い保育及び環境の必要性が示唆された。

  • 清水 陽子, 石川 ますみ, 古野 愛子
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 2 巻 p. 46-53
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/27
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    持続可能な社会づくりのためには,乳幼児期の教育が重要であり,OECDが指摘している「保育の質改革」は日韓共通の課題である。

    韓国では,2012年3月に,幼稚園と保育施設(オリニジップ)の5歳児を対象に,幼保統合カリキュラムを制定した。翌年の2013年には,5歳児だけでなく3~5歳児のカリキュラムを統合し,「3~5歳児年齢別ヌリ課程」を制定した。日本では,2017年3月の改定によって,幼保統合カリキュラムが実現された。本稿では,日韓の保育カリキュラムが改定された方向性を視野に入れ,「保育の質」の捉え方について比較検討する。

    研究の方法として,日本と韓国の3歳未満児の幼保統合カリキュラムの2領域「自然探究」と「環境」,「芸術経験」と「表現」を比較する。

    日本の「保育所保育指針」と韓国「標準保育課程」との比較を通して,保育実践の質を保障するための3歳未満児の保育カリキュラムの在り方について考察することを,本研究の目的とする。

  • 田井 康雄
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 2 巻 p. 54-63
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/27
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    乳幼児教育者の専門性のあり方について,乳幼児期を人間形成的視点から分析することによって考察した。乳幼児期は子どもが自己形成を成立させていく時期であり,その進行状態に応じた教育(保育)が行われなければならない。

    本来母親による保育は自らの子どもの成長・発達に応じた形で進められるがゆえに,中心的役割を演じるものであり,乳幼児教育者は母親の保育を補助することが主な役割であった。それは保育を構成する養育・保護・教育のうち,養育と保護がその中心であったからである。しかし,今や乳幼児教育者が真に母親の保育を指導できるだけの専門性を備えた乳幼児教育指導者になる必要がある。

    乳幼児期の保育の重要性が増してきている現在,保育における教育の要素が重視されるようになってきた。教育は養育や保護と根本的に異なる要素をもっていて,子どもにストレスを与える。そうすることによって耐性の育成を成立させる。その結果,乳幼児教育者の役割の拡大化,さらに,乳幼児教育者における専門性のレベルアップが求められているのである。

  • 田中 沙織
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 2 巻 p. 64-73
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/27
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    本研究では,幼児期前期の歩行に着目し,家庭内環境や外出時の移動手段,身体活動や歩行に関する保護者の意識など,歩行を取り巻く生活環境の実態把握を行うことを目的とした。1歳児(n=34),2歳児(n=53),3歳児(n=33),の合計120名の保護者を対象に,歩行を取り巻く生活環境に関する自記式の質問紙調査を実施した。その結果,子どもが保育園降園後に外出する理由としては,買い物等の親の外出に伴う外出が最も多く,外出時の移動手段については大人が状況に応じて決定する傾向にあった。ショッピングカートの利用時間については,約7割の家庭が買い物に費やす8割以上の時間をショッピングカートに子どもを乗せていた。保護者は外出時の幼児の歩行について身体活動を促進する機会として捉えにくい傾向にあった。

スポーツ健康科学科
研究論文
  • 村谷 博美
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 2 巻 p. 74-81
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/27
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    ストレス反応が高い群とそうでない群の間に生活習慣や身体組成の差があるか,その差は,心血管年齢の高い群とそうでない群の間にも認められるかを調べた。対象は某私立大学の従業員である。職場ストレスはストレスチェックを用いて評価し,ストレス反応の評価点が17点以下を高ストレス反応群,18点以上を非高ストレス反応群とした。心血管年齢は健診成績を用いてD’Agostinoらの方法によって算出し,実年齢より高い群と実年齢以下の群に分けた。多重ロジスティック回帰分析で,高ストレス反応との有意の関連が検出されたのは,男女とも睡眠による休養が不十分だという自覚であった。心血管年齢が実年齢より高い群では,男女とも肥満との関連が有意で,年齢層の影響と独立していた。ストレス反応と心血管年齢に関連する生活習慣要因は異なっており,職場ストレスは古典的な危険因子の集積とは異なる機序で心血管リスクを上げる可能性が示唆された。

  • 古門 良亮, 磯貝 浩久, 秋山 大輔, 斉藤 嘉子
    原稿種別: 研究論文
    2020 年 2 巻 p. 82-90
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/27
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    本研究の目的は,複数対象追跡(Multiple Object Tracking,以下MOT)スキルと関連する要因を視覚探索方略,視機能,認知機能の中でも選択的注意力,情報処理速度の視点から検討することであった。実験参加者は平均年齢19.44歳の男子大学生25名であった。実験参加者のMOTスキルの測定にはNeuro Tracker式MOT課題を用いた。また,MOT課題の測定時には眼球運動測定装置を使用し,視覚探索活動も併せて測定した。なお,眼球運動指標は視線移動距離,停留回数,停留時間,停留点の移動速度を算出した。視機能測定は,スポーツビジョン研究会で用いられている静止視力などの8項目を採用した。認知機能の測定には,新ストループ検査IIを用いた。従属変数にMOTスキル,独立変数に眼球運動指標,視機能,認知機能を代入し,独立変数毎に重回帰分析を行った結果,視機能の中で瞬間的に情報を獲得する機能がMOTスキルと関連する要因であることが明らかになった。本研究で得られた知見は,MOTスキルトレーニング方法の拡充やその規定要因の検討に関して活用されるだろう。

  • Tetsuya Kurokawa, Mi Jung Young, Tomohiko Tsuzuki, Noriko Nakashima, J ...
    原稿種別: Original Article
    2020 年 2 巻 p. 91-106
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/27
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    The purpose of this study was to examine the actual condition of students’ learning in physical education (PE) classes and the effectiveness of the PE curriculum revision in the Republic of Korea (ROK) according to the results of a 2013 survey. Firstly, we considered the backgrounds and the major points of ROK’s national PE curriculum revised in 2007, 2009, and 2015. Secondly, we examined the effectiveness of the revisions using the results of a 2013 survey. The survey used the Learning Career Assess Scale (LCAS; Unno 2011; Unno et al. 2013a). The sample consisted of 507 (7th grade), 451 (9th grade), and 424 (university freshmen) students from all over ROK. ROK has revised its national PE curriculum on an unprecedented scale and prepared to manage the curriculum quality. The survey responses showed significant differences between male and female students in the three dimensions of Learning Product, Learning Attitude, and Teachers’ Instruction. These differences existed at all school stages. Middle school students had the lowest scores for most factors, but we could not identify the cause of the decline of scores in this school stage. As significant differences found in all the dimensions of LCAS, it seems that an issue for PE curriculum management in ROK is how to reduce these differences using evidence concerning the condition of students’ learning in PE class.

実践報告
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