日本産業看護学会誌
Online ISSN : 2188-6377
6 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著
  • 河野 啓子, 工藤 安史, 後藤 由紀, 中神 克之, 畑中 純子
    原稿種別: 原著
    2019 年 6 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2019/10/02
    公開日: 2019/11/21
    ジャーナル フリー

    目的:本研究は,産業看護職のコンピテンシー尺度を開発し,信頼性・妥当性を検証することを目的とした.方法:産業看護職375 名に無記名自記式質問紙調査票を配布し,回収数211(回収率56.3%)を分析対象とした.まず,我々が事前の研究で明らかにした40 項目を基に項目分析, 因子分析を行い,尺度項目を決定した. 次に,これらの表面妥当性,構成概念妥当性,基準関連妥当性,信頼性を検証した.結果・考察:36 の項目が尺度項目として決定され,すべてで通過率が97%を超えていたことから表面妥当性が検証されたと考える.また,因子分析の結果抽出された「産業看護を遂行する力」「創出する力」「自己成長する力」はコンピテンシーの条件と一致したことから構成概念妥当性は担保され,尺度合計点数と産業看護経験年数との相関がr=0.318 であったことから基準関連妥当性も示唆されたと考える. クロンバックα係数は3 つの因子すべてが0.9 以上だったことから信頼性が検証されたと考える.結論:我々が開発した産業看護職のコンピテンシー尺度は,信頼性・妥当性が検証された.

研究報告
  • 吉田 麻美, 三木 明子, 小野 郁美
    原稿種別: 研究報告
    2019 年 6 巻 1 号 p. 8-15
    発行日: 2019/10/02
    公開日: 2019/11/21
    ジャーナル フリー

    【目的】看護師における妊娠期の症状と上司・同僚の支援の実態について明らかにすることとした.【方法】7 病院の看護師に無記名自記式質問紙調査を実施し,妊娠経験のある693 名を対象とした.【結果】つわり等妊娠期に症状を抱えていた者は46.8~86.8%で,母性保護・母性健康管理に関する措置を受けなかったと回答した者は33.0~63.3%,上司・同僚に配慮してもらえなかったと回答した者は37.5~47.6%だった.嬉しかった上司・同僚の支援は,《肯定的メッセージの伝達》,《継続的な助言と相談》,《業務の負担軽減》,《妊娠者への安全配慮》だった.【考察】嬉しかった上司・同僚の支援として実例があげられた一方,大半が妊娠期に症状を抱える中,母性健康管理等に関する措置や安全配慮といった支援を十分に受けられていない現状が示唆された.【結論】妊娠期の看護師に関する労働安全衛生教育により支援への理解促進を図ると同時に,母性健康管理等に関する措置の徹底を図る必要がある.

  • 小野 郁美, 三木 明子, 吉田 麻美
    原稿種別: 研究報告
    2019 年 6 巻 1 号 p. 16-23
    発行日: 2019/10/02
    公開日: 2019/11/21
    ジャーナル フリー

    【目的】40 歳以上の中高年看護師における仕事意欲および生きがい感と定年後の就業継続意向との関連を明らかにした.【方法】9 病院の看護師に無記名自記式質問紙調査にて仕事意欲測定尺度と生きがい感尺度を用いて,定年後の就業継続意向を3 群に分けて分析した.【結果】40 歳代は398 名,50 歳代以上は238 名であった.定年後の現職継続意向者は40 歳代で34.5%,50 歳代以上で40.1%であった.仕事意欲については,40 歳代は現職継続意向者が他の2 群より,50 歳代以上は現職継続意向者が他職種就業意向者より有意に高かった.生きがい感では,40 歳代は退職意向者が現職継続意向者より有意に高かった.【結論】定年後の現職就業継続を促進するためには,仕事意欲を維持するだけでなく,体力等が低下しても働けるよう,身体的負荷を軽減する用具の活用やチームとして能力を補完しあえる職場環境を構築する必要がある.

活動報告
  • 長井 麻希江, 森河 裕子
    原稿種別: 活動報告
    2019 年 6 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 2019/10/02
    公開日: 2019/11/21
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究の目的は,集団認知行動療法を基盤としたストレスマネジメント行動促進プログラムを立案し,IT 企業の新入社員を対象に介入,評価することである.【方法】ストレスに関する講義とグループ討議により各自のストレス状況改善アクションプランを立案し,その後日記をつけるというプログラムを立案した.新入社員56 名を対象に実施し,介入前後の職業性ストレス,ストレス反応,コーピングを調査した.【結果】全プログラム参加者は22 名(39.3%,男性18 名,女性4 名)だった.①全対象者の介入前後における各指標の有意な変化はなかった.②アクションプランに取り組んでいた群とアクションプランに関する記載がなかった群に分けて比較したところ,取り組んでいた群の感情表出コーピングが有意に高まっていた.【結論】講義,グループ討議,セルフモニタリングというストレスマネジメントプログラムは,感情表出の行動変容が起こる可能性がある.

feedback
Top