日本社会福祉マネジメント学会誌
Online ISSN : 2436-4061
5 巻
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • ‒ 子どもとの信頼関係の構築のための関わりも含めた検討 ‒
    太田 研, 貞松 成
    2025 年5 巻 p. 4-18
    発行日: 2025/03/25
    公開日: 2025/08/09
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では, 保育現場におけるマルトリートメントについて保育者が認識する関連要因,及びマルトリートメントをしたことがある保育者が信頼関係を構築するために心がけている関わりを探索的に検討することを目的とした.経験年数の異なる6名の保育者を2グループに分け,フォーカス・グループ・インタビューを実施し,保育者の語りを質的に分析した.その結果,マルトリートメントに関する概念的カテゴリーとして【認知したマルトリートメント】【マルトリートメントのリスク要因】【保育者の予防要因】【組織の予防要因】を抽出した.信頼関係の構築に関するカテゴリーでは【基本的態度と関わり】【一人ひとりとの情緒応答的な関わり】【社会情動的発達】【保護者からの信頼】を抽出した.マルトリートメントの認知に関する語りが多いグループでは,保育者と組織の予防要因の語りが少なかった.信頼関係の構築に関するカテゴリーは,グループ間で共通していた.保育者は関係構築に向けて一人ひとりに応答的な関わりを意識しているものの,予防要因の機能不全や複数のリスクが複合することでマルトリートメントが生じ得るととらえていた.
  • 井梅 由美子, 三好 真人, 藤後 悦子, 大橋 恵
    2025 年5 巻 p. 19-30
    発行日: 2025/03/25
    公開日: 2025/08/20
    ジャーナル オープンアクセス
    発達障害等,特別な支援が必要な児童のスポーツ参加についてはその充実が目指されている.しかしながら,地域のスポーツクラブ等,学校の課程外のスポーツ活動への参加については,参加すること自体の困難さや周囲の理解の乏しさがあり,発達障害児の運動する機会の少なさが指摘されている.本研究では,特別支援児の保護者にインタビュー調査を実施し,スポーツ活動への子どもの参加に関して,保護者がどのような体験をしているかについて検討することとした.調査対象は発達障害の診断を受けた子ども,又は診断は受けていないが特別な支援が必要な子どもを持つ母親9名である.M-GTAによる分析により,参加への期待,参加へのハードル,指導者との関わり,競技能力への直面,他児との関わり,家庭での葛藤,場所への希望の7つのカテゴリーが抽出された.分析の結果,受け入れ場所が少ないことや,指導者や他児との関わりの困難,あるいは,競技能力への直面など母親自身の迷いや葛藤が見られた.一方で,子どもの特性に応じた指導者の適切な関わりは,親子が安心して活動に参加できる環境を作り出していた.
  • ‒ 分業介助が持つ時間を短縮するための条件から‒
    森田 裕之, 大野 倫由
    2025 年5 巻 p. 31-41
    発行日: 2025/03/25
    公開日: 2025/08/20
    ジャーナル オープンアクセス
    日本における介護分野では深刻な人材不足が問題となり,生産性向上が重要な課題となっている.特に,入浴介助は他の介助に比べ時間がかかり,介助者の負担が大きいとされている.入浴介助を効率化する手段として,全ての利用者に対して複数の介助者の分業による介助(以下,分業介助)が用いられてきた.分業は,特化による技能の集中と習熟を通じて生産性を高めるとされている.しかし,利用者1人の入浴介助時間は,分業介助でもほぼ変わらないという調査があり,分業介助と生産性向上のつながりは不明である.そこで本研究では,先行研究を参考に,入浴介助における分業介助をロールプレイ形式で実施し,分業介助が持つ時間短縮の条件を明らかにし,分業介助で入浴介助を行う際に求められるマネジメントについて考察した.その結果,合計所要時間と経過時間の差が正の値となるとき,時間短縮効果が確認できることから,同じ時間帯に2人の介助者が別々の利用者に対して介助を行う『介助の同時進行』が条件として示された.次に,分業介助で入浴介助を行う際に求められるマネジメントとして,入浴介助の時間短縮と利用者の安全及び尊厳保持という目標を達成することが必要であり,そのためには,利用者の個別ニーズと介助の同時進行をもとにした介助計画と,待機時間の有効活用の必要性が示された.本研究は,入浴介助における業務効率の向上や介助者の負担軽減に寄与する.
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