日本社会福祉マネジメント学会誌
Online ISSN : 2436-4061
2 巻, 1 号
日本社会福祉マネジメント学会誌
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 貞松 成
    2022 年2 巻1 号 p. 03-13
    発行日: 2022/04/28
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,保育士が子どもの興味や関心を判断する際の着目点が保育経験年数によって,どのよう に異なるのかを検証したものである.3 歳児クラスを担当する 1 年目の新人保育士と 5 年から 10 年 の保育経験年数を持つ中堅保育士の各 10 名が,砂遊びをする 9 人の子どもの様子が記録された動画 を 2 回視聴し,それぞれの子どもの興味や関心について判断理由とともに自由記述した.自由記述を 分析した結果,保育士は子どもの心の動きである情意性,目的を持って活動に取り組む意欲である志 向性のほかにも,子どもが誰かと一緒に活動に取り組む共同性,繰り返し活動に取り組む再現性の 4 つに着目していた.また,新人保育士の 1 回目と 2 回目の共同性の記述数と中堅保育士の 1 回目と 2 回目の志向性の記述数の増加に有意差が確認されたことから,保育士は経験年数を重ねることで,子 どもの共同性から志向性に着目するようになることが明らかとなった.
  • 大道 香織,  山田 千愛  山田 千愛
    2022 年2 巻1 号 p. 14-26
    発行日: 2022/04/28
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー
    本研究において,ドイツにおける森の幼稚園の子どもに対する保育者の根底にある配慮として,①「自律・自立の陶冶により非介入を中心とする保育スタンス」,②「危険因子となる遊びのリスクマネジメントとリスクに対する寛容な姿勢」,③「表現主義の助長による自立的創出スキルへの架け橋」の3 点が明らかとなった. ドイツの保育者は,森の幼稚園と一般の幼稚園に限らず,非介入を中心とする保育スタンスがベースとなっており,その背景には共通する自律・自立の陶冶があることが示唆された.次に,危険因子となる遊びのリスクマネジメントの中で,森の幼稚園の固有性として,リスクに対する寛容な姿勢がみられた.最後に,森の幼稚園の保育者は認知能力に限定されない小学校教育を見据え,幼児期からの表現主義の助長をすることはその後の自立的創出スキルにつながるといった背景があることが明らかとなった.
  • 大人の固定観念を超えた「驚き」「発見」「喜び」
    水野 佳津子, 中坪 史典
    2022 年2 巻1 号 p. 27-38
    発行日: 2022/04/28
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,乳児の排泄をめぐる様々な状況を保育者が楽しむことができる理由を明らかにすることで,保育者が乳児に寄り添いながら排泄の自立の道のりを共に歩むための示唆を得ることである.50 個のエピソードを分析した結果,保育者が乳児の排泄の自立を楽しむことができる理由として,「驚き」「発見」「喜び」があることが明らかになった.「驚き」とは,乳児が尿や便が出てくるところを知らなかったことに保育者が驚いたり,男児が排尿後に紙を欲しがったり,女児が立って排泄しようとしたりすることに保育者が驚いたというものである.「発見」とは,乳児がトイレに座らなかったり逃げ回ったりするのは,排泄の仕方がわからない葛藤から起こる姿であることを保育者が発見したというものである.「喜び」とは,乳児にとってトイレでの排泄は大変な道のりであるだけに,やり遂げた喜びは大きく,保育者も共に喜んだというものである.本研究の結果から,次の示唆を得ることができる.第一に,乳児が初めてトイレで排泄をするときの気持ちや状態を知ることで,保育者は乳児に寄り添うことができる.第二に,排泄の自立の過程で,乳児が試行錯誤し葛藤していることを知ることで,保育者は彼(女)らの気持ちを理解することができる.第三に,保育者が排泄の自立に寄り添うためには,愛着形成が必要である.したがって排泄のときだけではなく,普段から乳児と信頼関係を築くことが重要になる.
  • 労働環境の変容を視野に入れて
    阿部 敦
    2022 年2 巻1 号 p. 39-50
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,わが国において介護福祉士を目指す外国人留学生の現状と,外国人介護福祉従事者 への評価をふまえ,最終的には(日本人介護福祉従事者を含む)今後の労働環境の展開とその含意について叙述することである.この目的を果たす観点から,(1)複数の受け入れ制度,(2)介護福祉士国家試験の合格実績,(3)養成施設校卒業後の進路,(4)介護福祉従事者としての評価,(5)人材育成と人材確保の非連動性,(6)介護福祉分野の労働環境に影響を与えうる近年のわが国の施策とその含意,の順に考察する.  本稿における知見のなかで重要になるのは,次の 3 点である.①わが国に来日した外国人で,介護福祉士を目指す者のうちの一定数は優秀な介護福祉従事者になりうる条件を備えている,②しかし,全体の必要人数を鑑みたとき,基本的には日本人にとって魅力ある職種になるような相応の待遇改善策が必要である,③介護福祉の労働環境に影響を与える近年のわが国の政策は,外国人介護福祉従事者増大のいかんにかかわらず,労働環境の改善に資するとは言いがたい.
  • 西村 実穂
    2022 年2 巻1 号 p. 51-57
    発行日: 2022/04/28
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル フリー
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