近年洞爺丸外四隻の遭難事件,紫雲丸第三宇高丸衝突事件,第五北川丸沈没事件及び南海丸遭難事件等多数の入命を喪失する重大海難が続発したことから,世間の海難防止に対する関心が非常に高まつて来た。全日本海員組合から昭和31年11月14日付を以つて,運輸大臣に対し,海難防止についての強力なる施策を要望する旨の陳情書が提出された。これに対し運輸大臣は,翌昭和32年1月19日小泉秀吉氏を委員長とする海上航行安全審議会に「海難防止対策について貴審議会の意見を問う」との諮問をしたので,同審議会は翌10日以降委員会を開き,先ず海難防止特別委員会を設けて大綱を審議することとし,下記汽船部,機帆船部及び漁船部の三分科会にわけ,各分科会にそれぞれ専門委員を委嘱して細部の審議に入つた。
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